歯の豆知識⑪

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こんにちは!

今回は「新型タバコは健康被害が少ないのか?」についてお話していきます。

最近、アイコスやグロー、プルーム・テックなどの加熱式タバコや電子タバコといった新型タバコの宣伝を目にしたり、実際に吸っている方も多いと思います。健康への影響が少ないという宣伝を目にしますが本当なのでしょうか?

 

先ほど述べたアイコス、グロー、プルーム・テックは加熱式タバコと言われ、最近日本で使われている新型タバコの多くはこれに該当します。電子タバコはニコチンの含まれるリキッドが日本では幸いにも薬機法により認められていないため加熱式タバコに比べてマイナーです。

新型タバコの宣伝としては「有害物質が少なく、健康被害が少ない」というメッセージがよく使われます。そのため新型タバコを吸っている人は「健康に悪くない」と信じていることが多いかもしれません。

 

新型タバコで注意しなくてはいけないことは「有害物質が少ない」=「有害性が少ない」ではないことです。アイコスや通常の紙巻きタバコによる血管皮機能への影響を調べた研究結果では驚くべきことに、紙巻きタバコと同じようにアイコスも血管内皮機能を低下させています。このことから、健康被害が少ないとは言えないのです。また発がん性物質を含んでおり、グリセロールや粒子状物質など通常のタバコよりも多い物質もあります。更にアイコスはフィルターから熱で分解されたホルムアルデヒドシアノヒドリンという物質が放出されます。これは低濃度でも非常に有害な物質という事で、その健康被害も懸念されます。

 

ここで、新型タバコが紙巻きタバコの50%から90%くらい低い有害物質含有量だったとしましょう。この場合病気のリスクも半分から10分の1に減るのでしょうか?

多くの喫煙者の方は1日に約20本のタバコを吸っているといわれています。20本の喫煙により、吸わない人に比べて虚血性心疾患のリスクが1.8倍有意に上昇します。50%減少の10本の喫煙、90%減少の2本の喫煙でも約1.7倍、約1.4倍になります。このことから、本数によって劇的にリスクが変わるわけではなく、受動喫煙と同等の0.2本から有意にリスクは高いのです。有害物質が90%減少しても病気のリスクが90%減少するというわけではないのです。

 

極めて少ないタバコの有害物質に曝露される受動喫煙であっても口腔内の健康に影響がみられます。55歳から75歳の日本人男性において非喫煙者と比べ受動喫煙をしてしまう人は歯周病のオッズ比が3倍以上高かったことが報告されています。また受動喫煙を経験しない人と受動喫煙がほとんど毎日ある人における無歯顎(歯が1本もない)であるリスクは1.35倍有意に高いことがわかっています。

受動喫煙が歯を喪失させる可能性がうかがえます。このように通常の喫煙よりもはるかに少ない有害物質への曝露であっても口腔の健康に悪影響を及ぼすのです。

新型タバコの有害物質は少ないばかりでなく、たとえ少なかったとしても、健康被害が比例して下がるわけではありません。少量の有害物質であっても、歯周病や歯の喪失のリスクがあります。歯科疾患予防のためには、新型タバコであってもやめた方がよいと思われます。

2020.6歯科衛生士 参照)

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