歯の豆知識(39)

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みなさんこんにちは😊山崎歯科医院です。

 

近年注目を浴びている子どもの「食育」。なぜ、小さなころから食育を行うことが大切なのでしょうか?今回は、子どもの味覚決定時期と味覚のしくみのお話です。味覚のしくみを学んで、食育の大切さを今一度見直してみましょう! 

 

子どもの味覚ピークは生後すぐ! 

味には「甘味」「塩味」「酸味」「苦味」「旨味」の5つの基本味(五味)があります。それぞれの味覚は、生き物が生きる上で大切な信号の役割を果たしています。苦味は毒物、酸味は腐敗物の信号となり、本能的に避けようとします。一方甘味は生きていくのに必要なエネルギー源となる糖分があることを知らせる味、塩味は体液のバランスをとるのに必要なミネラルがあることを知らせる味、旨味は体を作るのに必要なたんぱく質があることを知らせる味で、本能的に好む味です。 

舌の表面には「味蕾(みらい)」と呼ばれるブツブツした器官があり、ここで味を感じています。赤ちゃんの味蕾は、お母さんのおなかにいる妊娠7週目くらいにでき始め、14週くらいには大人とほぼ同じ構造になり、その後は生後3ヶ月くらいまで増え続けます。味蕾は刺激物や喫煙で摩耗していくため、成人はこのときの赤ちゃんよりも味蕾が少ないと言われています。つまり、生後3ヶ月の味蕾が最も多い時期が、味覚を敏感に感じることのできるピークなのです。ちなみに生後5か月くらいになると、味蕾の細胞数は変わりませんが、味覚が鈍感になることがわかっています。このことからも、小さいころからの食育が大切であることがわかりますね。 

 

嗜好の決定時期と甘いもの 

基本的な味を判断する能力は味蕾によるもので、生まれたときから赤ちゃんがもっている能力です。しかし、「おいしい」と思う味(嗜好)は経験と学習によって獲得されます。 

おいしさは味覚だけでなく、嗅覚や視覚、触覚などさまざまな感覚器官を通して脳に伝わった結果、脳に記憶されます。「おいしい」と感じたときに出る脳内物質には、依存性をもつものがあり、それが摂食意欲を高めます。これがエスカレートすると、「やみつき」となり、過食につながることもあるため注意が必要です。特に、「甘味」は本能的に好む味であり、依存性が高い味です。味覚が鋭く、嗜好が決定する前の時期に甘いものを子どもに多く与えると、甘いものに対する依存が強くなってしまい、大人になってもやめることができず、生活習慣病の原因にもなります。一方、同じく本能的に好む味である「旨味」による美味しさは、甘味ほど強いやみつきを生じません。適度なところで食べるのをやめることができるおいしさです。 

したがって、こどもの味覚を育てるためには小さいころから素材そのもののおいしさを活かした薄味なもの、とくに旨味の基本である出汁のおいしさに触れさせるとよいでしょう。甘いものを嗜好の決定前に食べさせなければ、その後甘いものが好きではなくなる可能性はあります。とはいえ、甘いものを一切食べさせないというのも考えものです。大切なことは、食事を楽しみながらいろいろな味、食品を体験し、五感を使っておいしさの発見をくり返し経験させることです。 

 

いかがでしたか?子どもの味覚は、小さい時に食べた食べ物や、その時の環境などによって大きく左右されます。子どもの将来のためにも、できるだけ素材を生かしたおいしさのものを食べさせてあげたいですね。そして何より、「みんなで食卓を囲んで食べることが楽しい」という感覚も、小さいうちから育ててあげましょう。 

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