歯の豆知識(40)

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キシリトールはむし歯になりにくい代用甘味料として知られています。商品を手に取ってみたことのある方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。歯に対してメリットがある一方、多量に摂取するとお腹が緩くなるといった副作用もあります。今回はキシリトールが身体にどのような影響を及ぼすかということについてご紹介します!

 

キシリトールはどんな甘味料?

キシリトールは、砂糖と同程度の甘味をもつ糖アルコール(甘味炭水化物)の一種です。白樺やブナ、とうもろこしの穂軸などに含まれる「キシラン」とよばれる多糖類を抽出し、それを加水分解して還元されるキシロースから生成されます。いわゆる甘味料は「糖質系甘味料」と「非糖質系甘味料」に分類されますが、キシリトールは糖質であるキシロース由来のものであるため糖質系甘味料に分類されます。糖質系甘味料にはキシリトール以外にブドウ糖、果糖、乳糖などがあり、非糖質系甘味料には天然甘味料であるステビアや天草、人工甘味料であるアスパルテームなどが分類されます。キシリトールの甘さは砂糖と同程度である一方、エネルギーは砂糖の約4分の3と低いことも特徴です。口の中で溶ける際に熱を吸収する性質をもつため、摂取した際に爽快感や清涼感があり、くどさのない甘味をもちます。そのため、キャンディーやガムなどの食品に多く配合されています。

 

キシリトールの効果と活用

キシリトールには、次のような効果が期待できます。

 

  • プラーク(歯垢)の中に存在するむし歯原因菌の餌になりにくく、細菌の増殖を抑制できる。
  • キシリトールがもつ甘味により唾液の分泌を促進し、唾液の働きによりむし歯になりにくいお口の環境を整える。

 

このように、他の糖質系甘味料に比べて、むし歯予防効果が高いとされています。

また、キシリトールは代謝の際にインスリンを必要としないため血糖値の急上昇がなく、吸収速度も遅いため、糖尿病の人が摂取しても大きな心配がありません。

 

キシリトールの効果的な摂取方法

効果的にむし歯を予防するためのキシリトールの摂取方法をご紹介します。まず、摂取しやすいキシリトール製品はガムです。キシリトールの甘味だけでなく、噛むことによる唾液の分泌促進も期待できます。まだガムを噛めないお子さまはタブレットでも問題ありません。

食後もしくは歯磨き前に、キシリトールガムを5分以上噛みましょう。13回以上の摂取が推奨されています。キシリトールの1日あたりの摂取量は、大人で1510g(キシリトールガム48個分)です。過剰摂取になると、次に示すような全身への影響が出る場合もありますので、気をつけましょう。

 

キシリトールの全身への影響

キシリトールは消化酵素によって消化されないまま大腸へ移動するため、腸管内の浸透圧が上昇することで腸管の水分吸収が抑制され、腸管内へ水分が引き込まれることにより下痢を誘発したり腹部の違和感を生じることがあります。特に、緩下剤を服用している方や、子どもが摂取する場合には注意が必要です。また近年では数は少ないもののキシリトールが原因とみられるアレルギーも報告されています。さらに、アメリカ小児歯科学会では、これまでのキシリトールに関する研究は試験の回数や投与量において非現実的な条件下で実施されてきたものであるため明確なエビデンスとはいえない、と指摘しています。そのため、むし歯予防効果のある甘味料とは言い切れず、さらなる研究が必要であるという意見もあります。

 

当院におけるキシリトールの体験談

子供の患者さんの歯磨きがなかなか上手にできず、3か月ごとに来院してはいつも虫歯の治療をしていました。何とかむし歯にならないようにするにはどうしたらいいか検討し、お口の中のむし歯菌の数を減らすために100%のキシリトールガムを食後に噛むことをお勧めしました。食後にガムを噛むだけ、という簡単で続けやすい方法であることがポイントです。ご本人も保護者の方もしっかり毎日続けてくださった結果、今では新しい虫歯はありません。歯磨きの練習はまだまだ必要ですが、キシリトールを活用することで効果的にむし歯を予防できるということが分かりました。

 

いかがでしたでしょうか?キシリトールを摂ることはメリットもありますが、全身への影響も考慮したり、今後の研究結果を鑑みながら上手に活用したいですね。キシリトールを摂取していても、むし歯予防の基本である毎日の丁寧な歯磨きは続けていきましょう。

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